「子宮を全て摘出するか、残すか」——その選択を迫られた私は、
妊孕性(妊娠する力)を残せる手術“広汎子宮頸部摘出術(トラケレクトミー)”を行っている病院を紹介してもらいました。
岡山を選んだ理由
円錐切除・精密検査を受けた大学病院で、東京・岡山・鹿児島の病院であれば広汎子宮頸部摘出術(トラケレクトミー)が受けられると聞き、私は岡山の病院を紹介してもらうことにしました。
病院を選ぶとき、皆さんなら何を基準にしますか?
私の場合、「せっかく行くなら行ったことのない場所に行きたい」という好奇心と、
“東京よりも温かい人がいるんじゃないか”、“自然や素敵な街並みに出会えるかもしれない”という直感で、岡山を選びました。
(「東京よりも…」というのは、完全に私の偏見です!)
岡山県には「倉敷美観地区」という歴史ある街並みや、レトロな喫茶店、雑貨屋が並ぶ場所があります。
不安の中にも、そんな“楽しみ”を見つけられたことで、前向きな気持ちで向かうことができました。
初めての岡山、そして倉敷へ
新幹線と電車を乗り継ぎ、岡山県へ。
車窓から見える知らない景色に胸が高鳴りました。駅に着くと、名物のきび団子が並んでいて、「あぁ、岡山に来たんだな」と実感しました。
診察まで時間があったので、事前に調べていた「木庵」でランチを。
築80年以上の商家・蔵をリフォームした温かみのある空間で、木の香りに包まれながらゆっくり食事を楽しみました。
ちょうどその日は、店内でアコースティックギターの生演奏が行われていて、なんだか映画のようなひとときでした。
その後、倉敷美観地区を散策しました。
白壁の町並み、柳の木が風に揺れる倉敷川、静かに流れる時間。
診察前の緊張が少しほぐれ、心が軽くなったのを覚えています。
岡山の病院での診察
病院はまるでホテルのようでした。
吹き抜けのある明るいロビー、季節の花が飾られた受付、清潔感のある空間。
「病院」というより、“癒しの場所”という印象を受けました。
診察自体は淡々と進み、大学病院からの情報をもとに、私は広汎子宮頸部摘出術(トラケレクトミー)の適応であると説明を受けました。
ただし、もし手術で切除した組織の中にがん細胞が残っていた場合には、改めて「子宮全摘出術」が必要になるという話もありました。
「なるようにしかならない!」
そのときは、そう心の中でつぶやいていたと思います。
広汎子宮頸部摘出術(トラケレクトミー)とは
手術の目的
- 妊娠を希望する患者さんの妊孕性(妊娠する力)を温存することが最大の目的です。
手術の概要
- がんのある子宮頸部と、つながりのある腟の一部・靭帯などを摘出します。
- 子宮の本体と卵巣は温存されます。
- 残った子宮と腟を縫合して再びつなげます。
手術の適応条件
- 子宮頸がんが早期(IA2~IB1期)であること。
- がんの大きさや位置、組織型がトラケレクトミーで安全に切除できる範囲にあること。
手術の方法
- 開腹手術・腟式手術・腹腔鏡手術などの方法があります。
注意点
患者さんの状態によって安全に施行できるかどうかが異なるため、必ず主治医と相談し、十分な説明を受けることが大切です。
あくまで、私が2020年に治療を受けた際の情報を振り返りながら記載したものとなります。最新の情報については、改めて病院で説明を受けることをお勧めします。
私は、「ダヴィンチ」という手術支援ロボットを使った腹腔鏡手術を受けることになりました。
遠隔操作で行う“ロボット手術”です。
「どうにでもなれ、なるようになる」
そう思っていたものの、ロボット手術と聞いた瞬間は少し不安になりました。
さらに、先進医療ということもあり、費用の面での心配もありました。
それでも、「命には代えられない」と気持ちを奮い立たせ、
国家試験が終わったらすぐに手術が受けられるよう、日程を調整してもらいました。
次回予告
次回以降、実際の手術・入院の様子・費用、そして術後の経過について、思い出せる限り、まずは手術説明について、お話します。
